にほんれきしのけんきゅうにおけるかがくてきたいど
日本歴史の研究に於ける科学的態度

冒頭文

一 ちかごろ世間で日本歴史の科学的研究ということがしきりに叫ばれている。科学的研究というのが近代史学の学問的方法による研究という意義であるならば、これは史学の学徒の間においては一般に行われていることであるから、今さらこと新しくいうには及ばないはずである。然(しか)るにそれがこと新しいことのように叫ばれるのは、日本の国家の成立の情勢とか、皇室の由来やその本質、ならびにそれと国民との関係とか

文字遣い

新字新仮名

初出

「世界 三」1946(昭和21)年3月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日