じょじょうしょうきょくしゅう 02 じょ
抒情小曲集 02 序

冒頭文

私にとつて限りなくなつかしく思はれるは、この集にをさめられた室生の抒情小曲である。彼の過去に発表したすべての詩篇の中で、此等の抒情詩ほど、正直ないぢらしい感情にみちてゐるものはない。それは実に透明な青味を帯びた、美しい貝のやうな詩である。そしてそのリズムは、過去に現はれた日本語の抒情詩の、どれにも発見することのできない珍しい鋭どさをもつて居る。そしてこの詩集は、北原兄の『思ひ出』以後における日本唯

文字遣い

新字旧仮名

初出

「抒情小曲集」感情詩社、1918(大正7)年9月

底本

  • 抒情小曲集・愛の詩集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1995(平成7)年11月10日