くつじょく ――しでんのいちろうどうしゃにかわって――
屈辱 ――市電の一労働者に代って――

冒頭文

この一本のレール この一本のリベット この一本の枕木 この掘割、この盛り土 このコンクリート その上を平穏に走って行く機関車 機関車は一つの鋲から 一つのネジ 一つの管から、一つの安全弁 その機関車に焚く一塊の石炭までも 何から何まで、ピンからキリまで おお これが誰の仕事の成果であるか すべてはタコだらけの手のひらでなで 俺たちの仲間の労働がつくった 機関車はレールを

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い銃火」詩・パンフレット第一輯、日本プロレタリア作家同盟出版部、1932(昭和7)年4月20日

底本

  • 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
  • 新日本出版社
  • 1987(昭和62)年6月30日