とうどをかむ |
凍土を噛む |
冒頭文
土に噛りついても故国は遠い 負いつ 負われつ おれもおまえも負傷した兵士 おまえが先か おれが先か おれもおまえも知らない おれたちは故国へ帰ろう おれたちは同じ仲間のものだ お前を助けるのは俺 俺を助けるのはお前だ おれたちは故国へ帰ろう この北満の凍土の上に おれとお前の血は流れて凍る おお赤い血 真紅のおれたちの血の氷柱(つらら) おれたちは千里のこなたに凍土を
文字遣い
新字新仮名
初出
「プロレタリア文学」1932(昭和7)年2月号
底本
- 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
- 新日本出版社
- 1987(昭和62)年6月30日