みんなかなしげにそうおもう |
みんな悲しげにそう思う |
冒頭文
胡瓜つくってもいい トマトつくってもいい 南瓜も西瓜も茄子も 高い肥料代や小作米にくわれる 二番稲をつくるより 野菜をつくって市へだすのが なんぼいいかも知れない 山の向うの村から はこんで来るリヤカーの群をみると みんな悲しげにそう思う 今朝も おっかあ達は ここ 町の入口で がやがやとかけひきに余念がない 家の側を流れる溝で 夜になって 月にぬれて 野菜や果物を
文字遣い
新字新仮名
初出
「車輪」1936(昭和11)年9月号
底本
- 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
- 新日本出版社
- 1987(昭和62)年6月30日