さいしょのいんしょう |
最初の印象 |
冒頭文
江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。 池袋のお宅のお座敷で、先生をお待ちする間、私の心は好奇心と不安が交錯していました。 と、いうのは、その頃。 「江戸川乱歩先生のお書斎にはドクロがつるしてある。お化けの人形がぶら下っている、その無気味な雰囲気の中で、先生は深夜人の寝鎮るのを待って、蝋燭の灯で仕事をされる」等々の記事が雑誌に掲載されたり、人の
文字遣い
新字新仮名
初出
「別冊宝石 七巻九号」1954(昭和29)年11月号
底本
- 大倉燁子探偵小説選
- 論創社
- 2011(平成23)年4月30日