ことしのほうふ
今年の抱負

冒頭文

元旦の朝はその一年というものが非常に長いように思われる。三百六十五日あるのだから長いのはあたりまえだが、その一日を無駄なく、大切に暮らしたら相当何か出来るはずなのだ。 今年こそは大いに勉強して、自信のある作品とまではゆかなくとも、せめて、恥しくない、顔の赤くならないものを書きたい。 私は来る年毎に必ずそれを考えるのだが、まだ一度だって実行出来たためしがない。最初の意気込みが、二

文字遣い

新字新仮名

初出

「宝石 五巻一号」1950(昭和25)年1月号

底本

  • 大倉燁子探偵小説選
  • 論創社
  • 2011(平成23)年4月30日