きょうふのまぼろしへいだんいん |
恐怖の幻兵団員 |
冒頭文
私立探偵社の客 遠くの方でベルが鳴ったと思っていると、忽ち寝室のドアがはげしく叩かれ、 「先生、先生お客様ですよ」 せっかちの家政婦に起された。 枕時計を見ると朝の六時だ。私立探偵なんて職業を持っていると、とんでもない時間に訪問を受けることがしばしばある。そういう人に限って、厄介な用件を持ち込むものだ。私は舌打ちしながら、毛布をすっぽりと被ぶったまま、 「やか
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール読切 二巻五号」1950(昭和25)年5月号
底本
- 大倉燁子探偵小説選
- 論創社
- 2011(平成23)年4月30日