じでん |
自伝 |
冒頭文
本名山口重三郎。明治三十六年九月十一日沖縄の那覇の生れである。沖縄県立一中に学んだ。中学の二年生の頃、女性のことを気にするやうになつて、詩を書くことを覚え、詩にこるみたいに初恋にもこり出して、許婚の仲にまでまとめあげた。その頃からぼつぼつ「琉球新報」「沖縄朝日新聞」「沖縄タイムス」等の郷里の新聞に詩を書いたりした。 大正十一年の秋に上京したが、約束の父からの送金がないために放浪状態になつ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「現代日本詩人全集 第十四巻」東京創元社、1955(昭和30)年
底本
- 山之口貘詩文集
- 講談社文芸文庫、講談社
- 1999(平成11)年5月10日