つまりしはほろびる
つまり詩は亡びる

冒頭文

かつて、アンドレ・ジイドのソヴィエットへの関心を知るや否や、それを以て直ちに、赤化したアンドレ・ジイドと見なしたかのような観方をした人々が、日本の国にあったと記憶する。 彼等は、ジイドのソヴィエット旅行に就て、いよいよジイドが、ソヴィエットから土産として持って帰るものは、赤色ジイドに違いないと想像位はしていたかも知れないのであるが、さて、ジイドの帰りを迎えて見れば、振ら下げて来たものは、

文字遣い

新字新仮名

初出

「むらさき」巌松堂、1937(昭和12)年4月号

底本

  • 山之口貘詩文集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1999(平成11)年5月10日