わたしのせいねんじだい
私の青年時代

冒頭文

人間は、生れてしばらくの間を赤ん坊と言われ、そのうちに幼年、少年、青年、壮年、老年という順を経て、墓場に永住することになるわけである。このなかで人間にとって一番の人気ある年代は青年時代のようで、青春と呼ばれているのがその時代なのである。幼年や少年にとっては、憧れの的であり、壮年や老年にとっては、またとかえるすべのない思い出なつかしい時代として、どの世代の人間からも、愛され拍手を浴びているのが青春時

文字遣い

新字新仮名

初出

「社会人」1963(昭和38)年4月号

底本

  • 山之口貘詩文集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1999(平成11)年5月10日