はは |
母 |
冒頭文
わが生(せい)の奧深く、微かなる聲(こゑ)のわれを呼ぶを感ず。 當來の命(いのち)よ、眠れるわれを覺(さま)さむとして來(きた)るは汝(なれ)か。 嗚呼(あゝ)、命、新らしき命……わが内臟はとどろきぬ、 岸破(がば)と跳(をど)りぬ。そはなれが呻吟(うめき)の聲か接吻(くちづけ)か。 なれこそは未知なれ。あるは恐る、悲(かなしみ)に絶望に捧げむと、 わが血もてなれを養ひ、わが心もてなが心
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「スバル 創刊号」1909(明治42)年1月
底本
- 上田敏全訳詩集
- 岩波文庫、岩波書店
- 1962(昭和37)年12月16日