はんちゅうのはっせいがく |
範疇の発生学 |
冒頭文
我国の暫く前までの学界情勢では、カント流の範疇が範疇の代表者と考えられていた。それはアリストテレスの判断表から、そしてアリストテレスの判断表は文法から、引きだされたものだといわれている。とに角カントはそれを形而上学的(哲学的)に演繹したものである。だから範疇はここでは先験的に十二という数に限定されて了っている。存在に関する可能的、経験の論理的予件、というような固定した条件を範疇が意味した限りそうな
文字遣い
新字新仮名
初出
「法政新聞」1931(昭和6)年7月4日
底本
- 戸坂潤全集 別巻
- 勁草書房
- 1979(昭和54)年11月20日