しそうどういんろん
思想動員論

冒頭文

準戦時体制、或いは寧ろ戦時的体制の下に、事実上今日各部面の動員が行なわれている。軍事的動員を中心として、経済的、財政的動員、政治的動員、社会的動員、等々が行なわれつつある。戦時的体制や準戦体制というよりも、寧ろ動員体制と呼んだ方が適当であるかも知れない。北支事変が、準戦時体制乃至戦時体制をばこの動員体制にまで推進させたことは云うまでもない。かくて言論界に於ても動員令が下されたと見ることが出来る。独

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年9月号

底本

  • 戸坂潤全集 第五巻
  • 勁草書房
  • 1967(昭和42)年2月15日