せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん
一九三七年を送る日本

冒頭文

個人に公的生活と私生活とがあるように、社会全体にも云わば公的生活と私的生活との区別がある。別に社会の裏面があるということではない、社会の内心の生活があるという意味だ。どっちの生活も現実の生活であって、どっちだけを採りどっちを捨てるというわけには行かない。社会の公私生活がお互いに割合背反していない場合には、一方を以て他方を代表させることが出来る。即ち公的生活を以て私的生活を代表させることが出来るので

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」改造社、1937(昭和12)年12月号

底本

  • 戸坂潤全集 第五巻
  • 勁草書房
  • 1967(昭和42)年2月15日