ぶんげいひょうろんのほうほうについて |
文芸評論の方法について |
冒頭文
今日の日本の文芸批評の姿には、見渡したところ二群のものを区別出来るようである。一つは作家による文芸批評であり、も一つは評論家による文芸批評である。尤もこう云っただけですでに、多分の註釈が必要となるのはまことに遺憾であるが、一体評論家は一種の作家でないかどうか。最近日本では創作的な評論と云ったようなものも推賞されている。評論が創作でないというのが元々変な云い方だが、とに角小説や戯曲や詩というジャンル
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸」1937(昭和12)年6月号
底本
- 戸坂潤全集第四巻
- 勁草書房
- 1966(昭和41)年7月20日