いわゆるひひょうの「かがくせい」についてのこうさつ |
所謂批評の「科学性」についての考察 |
冒頭文
単に文芸批評だけではない。総ての評論風の批評は直接感受した印象の追跡を建前とする。ただその印象が芸術的な印象ではなくて、理論的印象や科学的印象である時、普通これを印象とは呼ばないまでで、この場合、印象の持っている印象らしい特色には別に変りがない。印象はそれを感受する人間の感覚的性能如何によって大変違って来る。印象とは刺戟に対する人格的反作用のことであろうが、そうした特色には、科学的労作を批評する場
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸」1938(昭和13)年1月号
底本
- 戸坂潤全集第四巻
- 勁草書房
- 1966(昭和41)年7月20日