きんじしだんすんかん |
近時詩壇寸感 |
冒頭文
詩論か何かさういつた風のものを書けと云はれるたびに、書くことはいくらでもあるやうな気持と、書くことは何にもないやうな気持に襲はれます。さて暫く案じた揚句、大抵はお断りすることとなるのでありますが、今もよつぽどお断りしようかと思つた所でありました。 人によつて色々異ることと思ひますが、私は詩に就いては自分に分るやうにだけは考へますが、それを人に分らせようとするや大変骨が折れます。而も骨を折
文字遣い
新字旧仮名
初出
「四季」1935(昭和10)年2月号
底本
- 新編中原中也全集 第四巻 評論・小説
- 角川書店
- 2003(平成15)年11月25日