ほんじょりょうごく
本所両国

冒頭文

大溝 僕は本所界隈(かいわい)のことをスケッチしろという社命を受け、同じ社のO君と一しょに久振りに本所へ出かけて行った。今その印象記を書くのに当り、本所両国と題したのは或は意味を成していないかも知れない。しかしなぜか両国は本所区のうちにあるものの、本所以外の土地の空気も漂っていることは確かである。そこでO君とも相談の上、ちょっと電車の方向板じみた本所両国という題を用いることにした。——

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月6日〜22日

底本

  • 大東京繁昌記
  • 毎日新聞社
  • 1999(平成11)年5月15日