あしからじとてこそ人の別れけめ 何かなにはの浦はすみうき 大和物語 寝(しん)についてもいうことは何時(いつ)もただ一つ、京にのぼり宮仕(みやづかえ)して一身を立てなおすことであった。練色(ねりいろ)の綾(あや)の袿(うちぎ)を取り出しては撫(な)でさすり畳(たた)み返し、そしてまたのべて見たりして、そのさきの宮仕の短い日をしのぶも生絹(すずし)の思いはかなんだ日の