おんな |
女 |
冒頭文
『女つてもの位、なんだね、僕等に取つて依體の(ママ)知れないものはないね、利口なんだか馬鹿なんだか、時々正體をつかむに苦しむことがあるよ。さうなるとまるで謎だね……法廷なぞでもなんだよ君、あゝあゝかうと、ちやんと言ひ切つてしまふのは女の證人だよ。男なら、さあはつきり覺がありませんとか、よく分りませんでしたとかいふところを、女は事々明瞭に申したてる、そりや頗る明快なものさ、概してそれは證人の弊だがね
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「解放」1920(大正9)年5月
底本
- 叢書『青踏』の女たち 第10巻『水野仙子集』
- 不二出版
- 1986(昭和61)年4月25日復刻版第1刷