はなのきむらとぬすびとたち
花のき村と盗人たち

冒頭文

一 むかし、花(はな)のき村(むら)に、五人組(にんぐみ)の盗人(ぬすびと)がやって来(き)ました。 それは、若竹(わかたけ)が、あちこちの空(そら)に、かぼそく、ういういしい緑色(みどりいろ)の芽(め)をのばしている初夏(しょか)のひるで、松林(まつばやし)では松蝉(まつぜみ)が、ジイジイジイイと鳴(な)いていました。 盗人(ぬすびと)たちは、北(きた)から川(かわ

文字遣い

新字新仮名

初出

「花のき村と盗人たち」帝国教育会出版部、1943(昭和18)年9月30日

底本

  • ごんぎつね・夕鶴 少年少女日本文学館第十五巻
  • 講談社
  • 1986(昭和61)年4月18日