うそ

冒頭文

一 久助(きゅうすけ)君はおたふくかぜにかかって、五日間学校を休んだ。 六日めの朝、みんなに顔を見られるのははずかしいなと思いながら、学校にいくと、もう授業がはじまっていた。 教室では、案のじょう、みんながさあっとふりむいて久助君の方を見たので、久助君はあがってしまって、先生のところへ欠席届を出し、じぶんの席へ帰るまでに、つくえのわきにかけてある友だちのぼうしを、三つばか

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1946(昭和21)年2月

底本

  • 牛をつないだ椿の木
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年2月20日