かいかのさつじん |
開化の殺人 |
冒頭文
下(しも)に掲げるのは、最近予(よ)が本多子爵(ほんだししやく)(仮名)から借覧する事を得た、故ドクトル・北畠義一郎(きたばたけぎいちらう)(仮名)の遺書である。北畠ドクトルは、よし実名を明(あきらか)にした所で、もう今は知つてゐる人もあるまい。予自身も、本多子爵に親炙(しんしや)して、明治初期の逸事瑣談(いつじさだん)を聞かせて貰ふやうになつてから、初めてこのドクトルの名を耳にする機会を得た。彼
文字遣い
新字旧仮名
初出
「中央公論」1918(大正7)年7月
底本
- 現代日本文學大系 43 芥川龍之介集
- 筑摩書房
- 1968(昭和43)年8月25日