きんしょうぐん |
金将軍 |
冒頭文
ある夏の日、笠をかぶった僧が二人(ふたり)、朝鮮(ちょうせん)平安南道(へいあんなんどう)竜岡郡(りゅうこうぐん)桐隅里(とうぐうり)の田舎道(いなかみち)を歩いていた。この二人はただの雲水(うんすい)ではない。実ははるばる日本から朝鮮の国を探(さぐ)りに来た加藤肥後守清正(かとうひごのかみきよまさ)と小西摂津守行長(こにしせっつのかみゆきなが)とである。 二人はあたりを眺めながら、青田
文字遣い
新字新仮名
初出
「新小説」1924(大正13)年2月
底本
- 芥川龍之介全集5
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1987(昭和62)年2月24日