きりしとほろしょうにんでん
きりしとほろ上人伝

冒頭文

小序 これは予が嘗(かつ)て三田文学誌上に掲載した「奉教人の死」と同じく、予が所蔵の切支丹版「れげんだ・おうれあ」の一章に、多少の潤色を加へたものである。但し「奉教人の死」は本邦西教徒の逸事であつたが、「きりしとほろ上人伝(しやうにんでん)」は古来洽(あまね)く欧洲天主教国に流布(るふ)した聖人行状記の一種であるから、予の「れげんだ・おうれあ」の紹介も、彼是(ひし)相俟(あひま)つて始めて全

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新小説」1919(大正8)年3、5月

底本

  • 現代日本文學大系 43 芥川龍之介集
  • 筑摩書房
  • 1968(昭和43)年8月25日