むだい(よん)
無題(四)

冒頭文

私は絶えず本を読まなければならないと云う心持がして居る。 一日の中一度も何の本も読まないで過ぎると、何だか当然取り入れなければならないものがすぐ手近かにあったのに、知らん振りをして見ない顔をして通った様な不安が起って来る。 日記をつけるときにたった二三字でも読んだものに対する感じのまとまって来るときは安らかな、自分の中にどこか確かな所の有る様な心持になる。 私の心には

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日

底本

  • 宮本百合子全集 第二十九巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年12月25日初版