じだいへいそくのげんじょう (きょうけん、じゅんすいしぜんしゅぎのさいごおよびあすのこうさつ)
時代閉塞の現状 (強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)

冒頭文

一 数日前本欄(東京朝日新聞の文芸欄)に出た「自己主張の思想としての自然主義」と題する魚住氏の論文は、今日における我々日本の青年の思索(しさく)的生活の半面——閑却(かんきゃく)されている半面を比較的明瞭(めいりょう)に指摘した点において、注意に値(あたい)するものであった。けだし我々がいちがいに自然主義という名の下に呼んできたところの思潮には、最初からしていくたの矛盾(むじゅん)が雑然とし

文字遣い

新字新仮名

初出

1910(明治43)年執筆

底本

  • 日本文学全集 12 国木田独歩 石川啄木集
  • 集英社
  • 1967(昭和42)年9月7日