崖下(がけした)の道(みち) いつも通りなれた崖下を歩いていた青二(せいじ)だった。 崖の上にはいい住宅がならんでいた。赤い屋根の洋館もすくなくない。 崖下の道の、崖と反対の方は、雑草(ざっそう)のはえしげった低い堤(つつみ)が下の方へおちこんでいて、その向うに、まっ黒にこげた枕木(まくらぎ)利用の垣(かき)がある。その中にはレールがあって、汽車が走っている。