平中(へいちゆう)といふ色ごのみにて、宮仕人(みやづかへびと)はさらなり、人の女(むすめ)など忍びて見 ぬはなかりけり。 宇治拾遺物語 何(いか)でかこの人に不会(あは)では止まむと思ひ迷ける程に、平中病付(やみつき)にけり。 然(しかうし)て悩(なやみ)ける程に死(しに)にけり。 今昔物語 色を好むといふは、かやうのふるまひなり。 十