みっつのめがね
三つの眼鏡

冒頭文

武雄さんはお母さんが亡(な)くなられてから大層わるくなりました。今日も何か面白いいたずらは無いかと考えてお座敷に来ましたら、机の上にお祖母(ばあ)さんの眼鏡(めがね)がありました。武雄さんは手を拍(う)って喜んで、その眼鏡を懐(ふところ)に入れました。それからお父さんとお姉さんの眼鏡も探し出して一所に懐に入れて、どこかへ遊びに行きました。 お祖母さんがお座しきに帰って来られますと、眼鏡が

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1922(大正11)年12月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日