おくさまたんていじゅつ
奥様探偵術

冒頭文

あるところに一人のオクサマがありました。 その奥様は次のような場合に、キット御主人に喰ってかかられました。胸倉を取って小突(こづ)きまわされました。「もう出て行く」と紋切型を云われました。引っくり返って足をバタバタされました……かも知れませんでした。 ……御主人のお帰りが晩(おそ)い時…… ……御主人の身体(からだ)か、持物か、お召物のどこかが酒臭い時……

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人サロン」1930(昭和5)年10月

底本

  • 夢野久作全集3
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年8月24日