「きょうかぜんしゅう」もくろくかいこう
「鏡花全集」目録開口

冒頭文

鏡花泉先生は古今に独歩する文宗なり。先生が俊爽(しゆんさう)の才、美人を写して化を奪ふや、太真(たいしん)閣前(かくぜん)、牡丹(ぼたん)に芬芬(ふんふん)の香を発し、先生が清超の思、神鬼を描いて妙に入るや、鄒湛(すうたん)宅外、楊柳に啾啾(しうしう)の声を生ずるは已(すで)に天下の伝称する所、我等亦多言するを須(もち)ひずと雖(いえど)も、其の明治大正の文芸に羅曼(ロマン)主義の大道を打開し、艶

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新小説」1925(大正14)年5月

底本

  • 筑摩全集類聚版芥川龍之介全集第五巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年7月5日