おしえのきせき
押絵の奇蹟

冒頭文

看護婦さんの眠っております隙(すき)を見ましては、拙(つた)ない女文字を走らせるので御座(ござ)いますから、さぞかしお読みづらい、おわかりにくい事ばかりと存じますが、取り急ぎますままに幾重(いくえ)にもおゆるし下さいませ。 あれから後(のち)、お便り一つ致しませずに姿をかくしました失礼のほど、どんなにか思(おぼ)し召しておいでになりますでしょう。どう致しましたならばお詫びが叶(かな)いま

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1929(昭和4)年1月

底本

  • 夢野久作全集3
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年8月24日