オシャベリひめ
オシャベリ姫

冒頭文

ある国に王様がありまして、夫婦の間にたった一人、オシャベリ姫というお姫さまがありました。 このお姫様は大層美しいお姫様でしたが、どうしたものか生れ付きおしゃべりで、朝から晩まで何かしらシャベッていないと気もちがわるいので、おまけにそれを又きいてやる人がいないと大層御機嫌がわるいのです。 ある朝のこと、このオシャベリ姫は眼をさまして顔を洗うと、すぐに両親の王様とお妃(かあ)様の処

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1925(大正14)年9~10月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日