しょうじょじごく
少女地獄

冒頭文

何んでも無い  白鷹秀麿(しらたかひでまろ)兄 足下 臼杵利平 小生は先般、丸の内倶楽部(くらぶ)の庚戌会(こうぼくかい)で、短時間拝眉(はいび)の栄を得ましたもので、貴兄と御同様に九州帝国大学、耳鼻科出身の後輩であります。昨、昭和八年の六月初旬から、当横浜市の宮崎町に、臼杵(うすき)耳鼻科のネオンサインを掲げておる者でありますが、突然にかような奇怪な手紙を差し上げる非礼をお

文字遣い

新字新仮名

初出

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

底本

  • 少女地獄
  • 角川文庫、角川書店
  • 1976(昭和51)年11月30日