あおずいせん、あかずいせん
青水仙、赤水仙

冒頭文

うた子さんは友達に教わって、水仙の根を切り割って、赤い絵の具と青い絵の具を入れて、お庭の隅に埋めておきました。早く芽が出て、赤と青の水仙の花が咲けばいいと、毎日水をやっておりましたが、いつまでも芽が出ません。 ある日、学校から帰ってすぐにお庭に来てみると、大変です。お父様がお庭中をすっかり掘り返して、畠にしておいでになります。そうしてうた子さんを見ると、 「やあ、うた子か。お父さん

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1922(大正11)年12月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日