三太郎君は勉強に飽きて裏庭に出ました。 空には一面に白い鱗雲(うろこぐも)が漂うて、淡い日があたたかく照っておりました。その下に立ち並ぶ郊外の家々は、人の気はいもないくらいヒッソリとして、お隣りとの地境(じざかい)に一パイに咲いたコスモスまでも、花ビラ一つ動かさずに、淡い空の光りをいろんな方向に反射しておりました。 その花の蔭の黒いジメジメした土の上に初生児(あかんぼ)の頭ぐら