まさおかしき
正岡子規

冒頭文

正岡の食意地の張った話か。ハヽヽヽ。そうだなあ。なんでも僕が松山に居た時分、子規は支那から帰って来て僕のところへ遣(や)って来た。自分のうちへ行くのかと思ったら、自分のうちへも行かず親族のうちへも行かず、此処(ここ)に居るのだという。僕が承知もしないうちに、当人一人で極(き)めて居る。御承知の通り僕は上野の裏座敷を借りて居たので、二階と下、合せて四間あった。上野の人が頻(しき)りに止める。正岡さん

文字遣い

新字新仮名

初出

「ホトトギス」1908(明治41)年9月1日号

底本

  • 筑摩全集類聚版 夏目漱石全集 10
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年1月10日