よのえがかんとほっするさくひん
予の描かんと欲する作品

冒頭文

如何(いか)なるものを描かんと欲するかとの御質問であるが、私は、如何なるものをも書きたいと思う。自分の能力の許す限りは、色々種類の変化したものを書きたい。自分の性情に適したものは、なるべく多方面に亙(わた)って書きたい。然(しか)し、私のような人間であるから、それは単に希望丈(だ)けで、其希望通りに書くことは出来ないかも知れぬ。で、御質問に対して漠然(ばくぜん)としたお答えではあるが、大抵以上に尽

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1909(明治42)年2月1日

底本

  • 筑摩全集類聚版 夏目漱石全集 10
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年1月10日