こうてんきちじつ |
荒天吉日 |
冒頭文
まへがき 「荒天吉日」とは、別にたしかな出典のある言葉ではなく、ふと思ひついて、こんな標題にしたのである。読んで字の如く、天気が悪くてしかも目出たい日といふ意味、いはゆる神風の吹く日などは、その最も著しい例であらう。 しかし、私は、この物語のなかで、決して神風そのものをあつかふ意思はない。たゞ、戦ふ日本の姿をぢつと見つめ、国民一人々々の希望と努力とを厳しく省みるとき、昔からいはれてゐる
文字遣い
新字旧仮名
初出
「中部日本新聞」1944(昭和19)年3月18日~28日、30日、31日、4月1日~26日、28日、29日、5月1日~7月18日、7月20日~8月31日
底本
- 岸田國士全集15
- 岩波書店
- 1991(平成3)年7月8日