やくしゃよりちょしゃへ ――「ぶどうばたけのぶどうづくり」――じょ |
訳者より著者へ ――「葡萄畑の葡萄作り」――序 |
冒頭文
何しろ、僕は今まで、劇作家としてのあなたにより多くの親しみをもち、小説家乃至随筆家としてのあなたを殆んど識らなかつた。勿論、あなたの出世作「Poil de Carotte」は、脚本と併せて小説の方も読んだが、それは例の色んな本を渉猟すると云ふ楽しみ、名著を翻くと云ふこと、そのことが既に心を酔はせる、さう云ふ時代の、不真面目とは思はないが可なり無批判な、要するに興に乗じて読む、まあさう云ふ読み方をし
文字遣い
新字旧仮名
初出
「葡萄畑の葡萄作り」春陽堂、1924(大正13)年4月8日
底本
- 岸田國士全集19
- 岩波書店
- 1989(平成元)年12月8日