えんげいらん そのた
演芸欄 其他

冒頭文

どうも困つた役目を引受けたものです。今週は新聞を二種類余計取つて、演芸欄、文芸欄に目を通し続け、何か変つた問題はないか、何か週評の種はないかと、丸ではたの見る目も気の毒なくらゐ心を砕いたのですが、どうしてもこれはと思ふ題目が見つからない。 誰か芝居の道に明るい知人にでも会つたらと、さう気がついて見ても、此の三四日、毎日食塩注射をするやうな重態の老母を、看護婦や年の行かない弟妹に預て、のら

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報」1924(大正13)年11月19日

底本

  • 岸田國士全集19
  • 岩波書店
  • 1989(平成元)年12月8日