『どうしのひとびと』
『同志の人々』

冒頭文

僕は近頃、芝居はどこが面白いかといふ問題について頭を捻つてゐる。 少しそれがわかりかけたやうな気がする。そこへ、畏友山本有三氏から近著戯曲集『同志の人々』の恵贈に預つた。で、早速、そのうちの或るものを再読して見た。 山本有三氏には甚だ失礼ではあるが、僕の戯曲論の説明に、同氏の作品を一例として拝借することにする。それは、同氏の第一戯曲集たる『嬰児殺し』中に収められてある諸作から、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報」1924(大正13)年12月5日

底本

  • 岸田國士全集19
  • 岩波書店
  • 1989(平成元)年12月8日