アンリ・ルネ・ルノルマンについて |
アンリ・ルネ・ルノルマンについて |
冒頭文
仏蘭西の現代劇を通じて、「昨日の演劇」の余影と、「明日の演劇」の曙光とを、はつきり見分けることができるとすれば、前者は、観察と解剖の上に立つ写実的心理劇、並に、論議と思索とを基調とする問題劇であり、後者は、直感と感情昂揚(エグザルタシヨン)、綜合(サンテチザシヨン)と暗示に根ざす象徴的心理劇乃至諷刺劇である。 此の二つの流れは、それぞれ出発点を異にしてゐることは云ふまでもないが、前者が、
文字遣い
新字旧仮名
初出
「演劇新潮 第一年第十二号」1924(大正13)年12月1日
底本
- 岸田國士全集19
- 岩波書店
- 1989(平成元)年12月8日