たいわさせるすべ |
対話させる術 |
冒頭文
その国の一時代の文学が、外国文学の影響を受けたことに於て、明治以後の日本文学ぐらゐ著しい例はあるまい。 処で、その影響が、単に思想的内容や、表現の形式に止まらず、文学の本質的審美観念にまで浸潤して、殆ど模倣より脱却し、日本現代文学の一様式として存在の価値を認め得るものに短篇小説がある。 これに反して、文学の他の部門、殊に戯曲に至つては(詩の方面は暫く問題外とする)外国劇の影響か
文字遣い
新字旧仮名
初出
「演劇新潮 第二年第四号」1925(大正14)年4月1日
底本
- 岸田國士全集19
- 岩波書店
- 1989(平成元)年12月8日