げきさっかとしてのルナアル |
劇作家としてのルナアル |
冒頭文
劇作家ルナアルは、ミュッセと共に、僕に戯曲を書く希望と興味と霊感とを与へてくれた。彼に就いて何かを言はなければならないなら、僕は寧ろ黙つてゐたい。僕はあまり多く彼に傾倒し、あまり多く彼の芸術に酔つてゐる。 彼は生涯にたつた六篇の喜劇を書いた。小喜劇を書いた。その小喜劇は、偉大なる力を以て舞台を征服した。彼は既に非凡なる戯曲作家の「息(スツフル)」をもつてゐた。 彼は何よりもまづ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「別れも愉し」春陽堂、1925(大正14)年5月15日
底本
- 岸田國士全集20
- 岩波書店
- 1990(平成2)年3月8日