へいえいとぶんがく
兵営と文学

冒頭文

こゝで所謂「戦争文学」の話をしようとするのではない。また、軍事教育と文学との関係を論じようとするのでもない。まして、軍人なるものが、如何に文学と関係の深い職業であるかを説かうとするのでもない。たゞ、次のやうな挿話を一括して、之に標題をつけるとすれば、まあ、かういふことにでもするより外ないと思ふのである。 僕は幼年学校にはひつて仏蘭西語を習ひ始めたが、少し本が読めるやうになり出すとユゴオの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸春秋 第四巻第五号」1926(大正15)年5月1日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日