『ハイカラ』ということ
『ハイカラ』といふこと

冒頭文

近頃の若い人達は、もうこんな言葉は使はないかもしれないが、それでも、言葉そのものは、まだなくなつてはゐない。 「あの男はハイカラだ」といへば、その男がどういふ風な男であるかは問題ではなく、寧ろ、さういふことをいふ人間が、どんな人間であるかを知りたいほどの時代になつてゐるのかもしれない。 一体、この「ハイカラ」といふ言葉は、だれがどういふ機会に作りだし、いつ頃世間でもつとも流行したのであ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1927(昭和2)年4月3、4、5日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日