くろうにんクウルトリイヌについて
苦労人クウルトリイヌについて

冒頭文

「我家の平和」の作者、ジヨルジユ・クウルトリイヌは、私の最も好きな近代劇作家の一人である。 彼の名は巴里に於て、甚だポピユラアであること、我が菊池寛氏の東京に於けるそれの如く、彼の芸術の特長は、わが柳家小さん、そしてわが岡本一平氏のそれに似たものがある。軽妙で、辛辣で、どこかとぼけたところがあり、痛快味と、温かな情味とが程よく入れ交り、巴里生活のあらゆる感情のニユアンスを、心憎きまでに捕へて

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新劇協会 第一号」1927(昭和2)年6月5日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日